【再掲】虫を安心して食べるための注意点(初出:2010年5月8日)

自然毒とはなにか。フグ毒のテトロドトキシン、キノコ毒のムスカリン、アマニタトキシンはよく知られている。有毒な虫では、クモ、サソリ、ムカデ、ハチ、アリ、ドクガ、ツチハンミョウなどが挙げられる。ただ日本に生息する虫の毒は微量だし、ペプチド構造(小型タンパク質)が多く、しっかり加熱することで失活するものがほとんどである。毒が直接血液内に入ると危険だが、食べた場合は強力な胃酸の働きで減毒される。ただし採集や調理の際は細心の注意を払おう。スズメバチなど刺されなくても傷口などに毒液が入った場合アナフィラキシー症状を起こす場合もある。マツカレハは毒針毛があって刺さると激しい痛みを感じるが、食べると美味との記録もある。
「まず七輪に火をおこして松毛虫(マツカレハのこと─筆者)を網の上に並べる。すると、熱いから網の上で暴れるので毛もおちてしまう。焼きすぎるとうまくない。箸で押さえるとジュッジュッと汁がでる程度がよく、口に含むようにしながら噛むと青汁が出て、松くさいようななんともいえぬ香りがツンと鼻にぬけて、これに親しみだすとやめられない」(歩く食通の会編(1971年):『全国珍味ゲテモノ案内』、双葉社、123〜124頁。)

例外的に猛毒カンタリジン(致死量30ミリグラム)を体液に持つ昆虫がいて注意を要する。マメハンミョウ(ツチハンミョウ科)、アオカミキリモドキ(カミキリモドキ科)が代表的な種である。これらは食べてはいけない。マメハンミョウは特に毒の量が多く、乾燥粉末数頭分で致死量といわれている。あやまって触れると火傷状の水膨れになりヒリヒリ痛む。両者とも普通種で、マメハンミョウは成虫は豆の葉を食べるが、幼虫はイナゴの卵を食べる。最近減農薬でイナゴが増えたことから本種も増えつつある。アオカミキリモドキは夜間よく灯火に飛来する。

現実的にはマメハンミョウを相当量食べる機会はないとおもわれるが、次のような症状が出たら要注意である。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など。血圧低下、尿毒症、呼吸不全などで死亡する場合もある。
またアオバアリガタハネカクシはペデリンという毒を体液に含んでいる。カンタリジンよりは毒性は弱いが、これも食べないほうが無難である。皮膚につくと線状皮膚炎になる。

有害な寄生虫では、カタツムリ、ナメクジ、タニシなどに広東住血線虫(脳や脊髄の血管や髄液の中に寄生し、髄膜脳炎の症状を起こす)が、サワガニに宮崎肺吸虫(咳と血の混ざった痰が出る)が寄生していることがある。これらは熱を通せば死滅する。触れた手も石鹸でしっかり洗うことを習慣づけよう。
アレルギー体質の人も注意を要する。甲殻類アレルギーの人は食べないほうが無難である。もしくは少量ずつ試してみるといいだろう。甲殻類アレルギーのアレルゲンはトロポミオシンという物質であることが分かっている。タコやイカなど軟体動物アレルギーのアレルゲンでもある。同じ節足動物であるクモ類のダニや昆虫類のゴキブリなどによるアレルギーもこのトロポミオシンが関与している。したがってダニアレルギーの人も注意が必要である。甲殻類アレルギー体質ではなくとも何らかのアレルゲンを体内に残した虫を食べて発症する可能性もあるので、一昼夜ぐらいのフン出しは食味以外の意味もある。
農薬汚染については、最近は減農薬とはいえ、やはりいくつかの注意点を挙げておきたい。通常の食品は「食品衛生法」で残留農薬の基準値が決められている。だが野生食材を食べる場合は各自で判断するしかない。採集する周辺に農薬が使われていないかをチェックすべきである。薬剤が使われている場合は残留している可能性もある。特にゴルフ場周辺などは判断しにくいので、むしろ採集を避けるほうが無難である。

【再掲】アシダカグモは美味しい(初出:2010年8月9日)

先日アシダカグモをいただいた。試食が条件である。しばらくコオロギを与えて飼育し、今日3分間茹でて試食した。
○胸部
割って開くと現れる白い身が美しい(写真)。見た目も味も淡泊であっさりしてカニとよく似ている。
○腹部
噛むと身はやわらかく、濃い豆乳に似た凝縮した旨みが舌にしみこむ。皮は食べづらい。
○脚部
身が入っていて、歯でしごいて吸い出して食べる。胸部とおなじ風味。
アシダカグモは美味しいが結論。ジョロウグモと味はほぼ似ているが、大きいので食べごたえがある。

【再掲】信州の昆虫食品(初出:2006年3月31日)


昆虫食の話をしていて、田舎が信州だというと納得される場合が多い。確かにいまでも近所のスーパーの佃煮売場などにいけば、イナゴの佃煮のパック詰めがヒジキや昆布の佃煮の隣でなじんでいる。缶詰コーナーを見ればイナゴ缶とハチの子缶は定位置ですましている。長野県は南北にながい。地域によってザザムシとかサナギが店頭の常連になっていたりする。長野駅周辺の土産物店などでは、そうした昆虫食品各種を見ることができる。

かつて信州各地では多彩な昆虫食文化が存在していた。日本の食生活全集20『聞き書 長野の食事』(1986(昭和61)年、農文協刊)の抜粋を以下に掲載する。
●安曇平
■いなご
秋には田のあぜにいなごがとび交う。手ぬぐいを縫った袋を腰に、いなごとりをする。夜に煮つけてつくだ煮にする。また、いろりのおきで焼いたいなごをおろし大根であえると、一味違ったおいしさがある。
■蜂の子
家の軒先にある足長蜂の巣の「はちのこ」は、子どもでも取れるのでちょいちょい食べる。地蜂は、好きな人が蜂を追いかけて巣をみつけ、とってきてはちのこ飯などにするが、ごくわずかである。

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●伊那谷
■ざざ虫
寒中のころ、天竜川でざざ虫とりをする。ざざ虫は、川の水が勢いよく流れ、ざざ、ざざと波の音がするところにすんでいるから、この名前があるという。とびげらやかわげらの幼虫である。春になって水がぬるむと深いところに入ってしまうので、寒中にとる。
とってきたら、小石やごみを除いてよく洗い、砂糖と醤油を煮たてた中に生きたまま入れて、中火で焦がさないようにしながら、汁気がすっかりなくなるまで煮る。珍味として少しずつ来客用にする。
■いなご
秋になるといなごがとれる。稲刈りをはじめるとき、朝30分くらいいなごとりをしてから仕事にかかる。布袋へ入れて帰り、炒りなべで炒って足を除き、醤油と砂糖でからからに煮つける。何回かにわたって、一升か二升くらいを煮つけておき、ふたつきの入れものにとっておく。大切な滋養になる食べもので、ときどき出して食べる。
■蚕のさなぎ
養蚕の盛んなこの地方では、肉や魚のかわりに蚕のさなぎを、ごくふつうに食べる。春蚕や秋蚕上がりに近くの製糸工場へ行くと、さなぎを分けてくれる。たっぷりのお湯の中で一度ゆでる。これを砂糖少しと醤油で煮つけて、からからになるように仕あげる。こうしておくと保存もきくので、ときどきごはんのおかずとして利用する。
■蜂の子
また、蜂の子も食べる。地蜂の巣をさがし、巣が最も大きくなるのを待ってとり、蜂の子を落とし出す。蜂の子ごはんにしたり、空炒りにして塩をふって食べたりする。蜂の巣とりの好きな人がいて、そのおすそ分けがあるから、近所の人たちは喜ぶ。

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●諏訪盆地
■蜂の子
「すがり」と呼ばれる地蜂の幼虫である。蜂の巣の裏側を火であぶると、蜂の子が巣から落ちてくる。
砂糖、醤油に水を少し加えて煮たて、蜂の子を入れて炒りつける。これをびんに入れて保存し、来客のとき、ごはんに混ぜて蜂の子飯にする。

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●佐久平
■いなご
稲の葉を食べて育ったいなごは、田んぼに霜の降りる前ころが脂がのっておいしく、「霜いなご」ともいわれる。稲刈りから脱穀のころ、さらしの袋を腰にぶら下げていき、田仕事の合い間に四つ五つととる。
お湯に通してよく洗い、飛び足と羽をもぎとって甘からく煮つける。砂糖、醤油は目分量である。かめにとっておいて、冬中のおかずにする。
また、お湯でゆでてから、からからに干したものをすり鉢ですりつぶし、いなご味噌にして食べる。田植えどきのなめ味噌になったり、産婦によいといって味噌汁に入れて食べさせる。
いなごの煮かたにも家々の秘伝があり、色も味も歯ぎわりも微妙に違っていて、自慢の種になる。
■蚕のさなぎ
養殖ごいの財である蚕のさなぎは、近くの製糸工場から手に入れて、庭先いっぱいにむしろを広げて乾燥させておく。新しいものが手に入ると、その一部を食用にする。さなぎ3個で卵1個分の滋養があるといわれ、これを食べて農繁期を乗り切る。
さなぎをゆがいて脂気をとり、味を濃くして甘からく煮つける。
■蚕蛾の雄
また、さなぎからかえった雄の蛾をつくだ煮にしたものは「まゆこ」といい、珍重される。雄の蛾は蚕種業者から譲ってもらう。
■げんごろう
九月、田のこいを揚げるときに、げんごろうもたくさんとれる。つややかな羽をひろげて飛んでいってしまうので、ふたが必要である。
その羽をもぎとって、焼いたり炒ったりして塩味で食べる。すずめ焼きの味がするといって珍重される。
■蜂の子
夏の終わりから初秋にかけて、子どもたちは地蜂とりに野山をかけめぐる。真綿に肉片をつけたものをくわえて飛ぶ蜂を追っかけて、地蜂の巣をみつける。乾いた土手の土の中に三段くらいに重なってある。火薬をいぶして蜂を仮死させてから掘りとる。
地蜂の巣を火にかざして逆さにすると、白いうじ虫のような幼虫や、羽が生えかかった若蜂が落ちる。これを油で炒め、醤油、酒、砂糖で、汁がなくなるまで炒り煮する。
炊きたてのごはんに混ぜた蜂の子飯は最高のごちそうである。

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●善光寺平
■蚕のさなぎ
売りものにならないびしょ(薄い繭)から糸をとり、玉繭(さなぎが二ひき入っている繭)から真綿をつくる。このときにでるさなぎは、煮つけておかずにする。

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●西山
■蚕のさなぎ
春蚕から晩秋蚕まで蚕の世話に明け暮れるが、その副産物としてさなぎがある。とくに九月から十月にかけての玉繭(大きな繭)やさび繭は価格が安くなるので、自家用として煮て、真綿をとったり、糸を引いたりする。
残ったさなぎはきれいに洗い、ほうろくに入れて空煎りし、醤油と砂糖で煮つける。ごはんのおかずになる。
これを食べると、力がでるし、元気づくのである。

【終了】高田馬場で昆虫食を楽しむ会へのお誘い

米とサーカス4月高田馬場で昆虫食を楽しむ会へのお誘い
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2017年4月8日(土)13時―16時
会費2500円 予約制
会場 高田馬場駅徒歩1分、獣肉酒家「米とサーカス」
新宿区高田馬場2-19-8
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4月は「中華特集」です。
ご予約をお待ちしています。
●セミとサクサンのチリソース
●バグミックス大根餅
●ツムギアリの中華サラダ
※材料の都合で変更になる場合があります。
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※当日撮影した写真など他で利用することがあります。ご承知おきください。
※昆虫を初めて食べる際の注意
まれにアレルギー症状がおこる場合があります。
エビ・カニなど甲殻類アレルギーの方は少量からお試しを。
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ご予約は下記まで。
●昆虫料理研究会
・昆虫食彩館:http://insectcuisine.jp/?p=752
・内山昭一:entomophagy@shichigatsudo.co.jp
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792 高田馬場で昆虫食を楽しむ会へのお誘い

米とサーカス2月_修正高田馬場で昆虫食を楽しむ会へのお誘い
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2017年2月11日(土)13時―16時
会費2500円 予約制
会場 高田馬場駅徒歩1分、獣肉酒家「米とサーカス」
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2月は恒例の「バレンタイン特集」です。
ご予約をお待ちしています。
○【ときめき虫LOVE♡セミチョコフォンデュ】 
友情と愛が深まる?「セミ」スイートなチョコをつくろう!
○【隠し味はチョコ♪サクサンとカイコの赤ワイン煮込み】
じっくり炒めた玉ネギ、赤ワインとチョコがとろけるおいしさ。
○【タガメ風味のバグミックスピザ】
どの虫がお気に入り? チーズとよく合う、昆虫達が勢揃い!
※材料の都合で変更になる場合があります。
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※当日撮影した写真など他で利用することがあります。ご承知おきください。
※昆虫を初めて食べる際の注意
まれにアレルギー症状がおこる場合があります。
エビ・カニなど甲殻類アレルギーの方は少量からお試しを。
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ご予約は下記まで。
●昆虫料理研究会
・昆虫食彩館:http://insectcuisine.jp/?p=752
・内山昭一:entomophagy@shichigatsudo.co.jp
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