[FABLE/虫食通信/第6回例会]

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東京にたった1軒、黒焼き屋さん
「元祖黒焼 伊藤総本舗」見学
虫食文化研究会第6回例会報告(2001.1.21)

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店頭風景

袋表

袋裏

明治初期の創業という「元祖黒焼 伊藤総本舗」。上野広小路の近くの大通りに面した異次元空間だ。かつて隆盛を見た蟲類の黒焼きが広口ビンにはいってウインドーを飾っている。店先に立つとまるで江戸時代にタイムスリップした錯覚におちいる。


店内に並ぶ各種黒焼き

店内正面に置かれているのがフナ、アカトンボ、タニシ、カタツムリ、イモリの黒焼、カマキリの乾物、キツネ舌と書かれた顎の骨などが入った広口ビン。黒焼きはほとんど炭化状態。マムシ粉末もあった。


赤トンボ

ほとんど炭化し原型をとどめないアカトンボの黒焼


 土日は休みなのだが予約をして特別に開けていただいた。店主の伊藤桂子さんはとても85歳にはみえない。肌がつやつやしていて皺が見られない。これも黒焼きの薬効だろうか。
 黒焼きは動植物を土器で蒸し焼きにして炭化したもので、江戸時代の「山家薬方集」に様々な種類が紹介されているという。500種類もあったようだ。
 ついこのあいだまで昆虫をはじめさまざまな動植物が人間と有機的にかかわっていたことを実感させられる衝撃的なひとときだった。こうした黒焼きが科学的に薬効があるかどうかはこの際問題ではないように思われる。人間の営みが自然と遊離した現代文明こそ憂うべき問題なのだ。
 研究会の活動の主眼もそこにこそおかなくてはならないことを再確認した一日だった。

記事

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今年の抱負を熱っぽく語り合う虫食仲間

喫茶店にて
写真左より内山、門田、白鳥。

今年の主な活動計画
■採集と料理 4、6、8、10月の第2土曜日に採集し、冷凍保存した食材を後日調理、レシピにまとめる。
■「研究会年報」の発行。
■アンケートの実施。
■「Man eating bugs」の翻訳・出版の可能性を探る。

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[虫食通信]