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韓国の犬料理、ムカデの黒焼きなど
金子泰祐さん

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サナギ02

サナギ01


たいへん面白いサイトですね。小生はただの食い意地がはった中年であります。特に昆虫を好んで食べているわけではなく、なんでも食べる子丈夫な子として躾られて育った貧乏人にすぎません。どちらかといえば、くさやや、鮒寿司などのニオイ系列に興味があります。

小生は千葉県我孫子で育ちました。米農家が多く、イナゴはごく普通のたべものでした。駅のすぐそばに紡績工場がございまして、繭を煮る香りが町中に溢れていました。現在その工場はございませんが、小生が小学校の頃までは、蛹もよく食べられていたようです。近隣の町の人は蛹は食べたことが無いという人が多いので、我が町だけのことかもしれません。町をかこむように手賀沼、利根川がありまして、釣ったさかなはよく食べました。鮒、鯉、蛙、雷魚、ウナギ、ハヤ、ヤマベ、ザリガニ、カラスガイなどなど。

さて、韓国ですが、今回は帰国した留学生の友人の招きで、その友人宅にホームステイでいってまいりました。ハイライトは「犬料理」でありました。韓国人のいわゆるニューカマーのネットワークを通じて、一度千葉県松戸で体験済みではあったのですが、本場物ははじめてでした。お送りする写真は、犬肉市場で有名なソウル近郊の牡丹市場(モランシジャン)の入り口付近で撮影したものです。蚕の蛹を韓国語でポンテギとよびます。写真に見える赤い文字は「ポン」とかいてあります。(厳密にいうと、ポンテギのポンとは別の字だそうですが)これと同じ屋台はソウル市内にもずいぶん見かけました。紙コップに1杯2000w=200円ほどで、爪楊枝をたててくれます。若いカップルが購入するのをみかけましたし、友人夫妻も子供の頃よく食べたといっておりました。

その市場の中程にムカデの黒焼きが販売されておりまして、こちらは完全に「薬」でありましょう。そこらあたりから、撮影がはばかられるような雰囲気が横溢してまいります。生きた動物の商店がずらりとならぶのです。有名なだけありまして、やはり犬が最も多く、20〜30頭ほど入った檻が数十はありましたでしょうか、実に壮観であります。柴犬を大型にしたようで、茶色のものがほとんどでありました。

生きたものの他、丸のママ毛を焼かれたもの、四肢を切断してあるものなどさまざまですが、畜肉のむせかえるような臭気はなかなか迫力がありました。店の内部をのぞきますと、どの店も大きな圧力釜のような鍋がしつらえてありました。その市場の裏手にはやはりこれらの専門料理店が多くございました。小生もその一軒に案内されまして、スープと鍋を堪能いたしました。

犬の話で長くなってしまいました。ムカデは友人の奥さんの話によりますと、スープの浮き実にしたりする薬膳の趣が強いそうです。ポンテギはスーパーの食品売り場の缶詰ではごく普通で、かつ大変お安い。鮭缶くらいのもので、日本円で100円くらい。しかも小生が見ただけでも3種類のブランドがありましたから、現役バリバリの食品であることは間違いないとおもいます。小生が子供の頃食べたものは乾煎りして塩味、というものでしたが、韓国のものは、屋台、缶詰ともに塩味の汁に浸っております。

蚕の蛹とムカデなどはモランシジャンでなくてもソウル市内で容易に見つかるでしょう。モランシジャンは常設ではなく、4と9に日に開かれるそうです。ただ、犬の店は露店ではないようですから、いついっても大丈夫でしょう。

友人宅で冬虫夏草のジュース(?)を頂戴しましたが、元来は中国産を上物としているようです。冬虫夏草は天然のものの他、蚕の蛹に菌糸を植え付ける方法で量産もしているようです。

犬料理にしろムカデにしろ、韓国人はなにかに「効く」かどうかが、食材として存続させるかどうかのカギとしているように思われます。木の実や葉、根なども大変豊富で興味はつきません。

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[虫食通信]