126 サクサンの干物

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サクサンは柞蚕と書き、英名をChinese oak silkwormという。中国北部原産。【柞】はハハソと訓じ、コナラ、クヌギなどの総称。柞(ハハソ)の生い茂る原(ハハソノハラ)に生息し、柞の葉を餌とする【蚕】という意味である。分類学上蚕はチョウ目カイコガ科であり柞蚕はヤママユガ科に属する。ヤママユガ科はカイコガ科と同じく絹糸をとる目的で飼育される。ヤママユガ科は天蚕(テンサン)とも野蚕(ヤサン)とも呼ばれ、カイコガ科は家蚕と呼ばれる。カイコは完全に家畜化し自然界では生息困難なのに対し、ヤママユガ科は完全な家畜化は難しく、屋外の食樹(クヌギ、カシワ、コナラ、クリ、ブナなど)に網を張って飼育される。
原産国中国では蛹が食用とされる。カイコの蛹の二倍から三倍の大きさがあり、日本の近縁種であるヤママユの蛹よりも一回り大きく、体長はざっと40〜45ミリはある。全体にむっちりして肉が詰まっている。春秋二回発生のため年に二度蛹の採取ができる。秋の蛹は越冬するので、かつては貴重な冬場の生きた保存食となったであろう。現在でも中国ではサクサン蛹を食べる食習慣は健在のようで、日本でも一部の中国食材店で販売されている。東京JR大久保駅近くの店では「冷凍蚕卵(蚕蛹)」という品名で、500グラム入り1袋550円で売られている。
東京の場合昆虫の限らず干物作りは湿度の低い冬場がよく乾く。実際の作り方を以下に示そう。
1 サクサンをよく洗い、キッチンハサミで頭部と尾部を数ミリ切り落とし、皮にも切り込みを入れておく。
2 網などに乗せて火にかけ、できるだけ水分がなくなるまで焼く。
3 魚の干物用のネットなどに入れ、軒下に一週間ほどつるして乾燥させる。

好天に恵まれ一週間軒下に吊したサクサンは軽い。さっそく試しに一個割って口に入れてみる。カラカラに乾いているので、噛んだ瞬間クッキーかパイのようなサックリとした歯触りである。噛み締めると濃厚な豆乳に似た味がジワッとにじみ出てくる。写真の真ん中に見える黒い部分は消化管で硬い。果物の種のようだ。取り除いた方が食べやすいだろう。
サクサンはこれまでよく煮物などに使ってきた。それはそれで美味しいのだが、ただ煮た場合は外皮は硬くて食べずらいという欠点があった。それに煮た臭いが気になるという人もいた。ところが今回のように焼いて干すと外皮が気にならず丸ごと食べられるし、それに乾いているので臭いも少ない。このまま食べても悪くないがいささか無粋ではある。一工夫でいろいろなレシピに応用できそうで楽しみだ。

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コメント

  1. ププ より:

    はじめまして。少し前からこのブログを見るようになったププと申します。
    初めてここを見た時は「虫!?」って感じでしたがこのブログを見ているうちに心なしか虫を食べる事に対して抵抗感が無くなって来ている気がします。今回の柞蚕の干物は焼芋みたいな感じで虫を食べた事が無い僕にも食べられそうな感じですね。涎が出そうな勢いです。
    色々と言いたい事はありますが、今回はここまでで。これからも頑張ってください。次回の更新も楽しみに待っています。

  2. bugeater より:

    ププさん、はじめまして。昆虫類は食べ安さから考えれば干物が一番です。もちろん昆虫の種類によって向き不向きはありますが…。なかでも今回のサクサンさなぎはとても食べやすい部類に入りそうです。しかも保存性にもすぐれているので、念のため冷蔵庫に入れておけばかなり長い期間楽しむことができます。

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