朝4時に起きて近くの山へ登る。ことのほか暑かった夏も終わろうとするこの時期、三木卓の形容するヒグラシの「銀の箔を振るような声」を無性に聞きたくなったためだ。まだ暗い尾根にたたずみ初鳴きをじっとまつ。4時半をすぎ空がいくぶん白み始めたころ一頭が「カナカナ」と控えめに鳴く。それを合図に高く美しい声がいっせいに呼応して輪唱が始まる。ひとしきりヒグラシの交響に浸かる。ヒグラシは5時近くまで鳴き、やがてミンミンなどほかのセミに鳴き声を譲った。
一頭を採集する。セミヤドリガに寄生されているのに気づく。セミヤドリガの幼虫は主にヒグラシに外部寄生し、寄主の体液を吸って成長する。ガの体はまっ白なので五齢(終齢)と思われる。綿菓子のような繭を作るという。
明るくなるのを待って南斜面をくだり沢筋にでる。ここでしばらくサワガニを取る。この時期は大きく成長したカニがたくさん取れる。石を取りのけツツツと横走りで逃げるカニを捕らえる。これがなかなかおもしろくて時間を忘れるのである。
コメント
ヒグラシ成虫はあまり食べでがないそうですが、クマゼミなど大型のセミではいかがでしょうか?
サワガニは、素揚げにして塩コショウをふりかけてビールのおつまみで決まりですね
>通りすがりさん
セミ成虫に関していえば、アブラゼミクラスでも加熱が足りないと殻が硬くて食べにくい場合があります。そこでヒグラシ、ツクツクボウシクラスの方が食べやすいのではと考えています。
幼虫になると話は別です。クマゼミはかなり食べ応えがあり食材として有望ではないかと想像できます。クマゼミ幼虫の薫製はぜひとも味わってみたい一品です。
ヒグラシの交響といえば、ヴェートーベンの6番4楽章にそれを思わせる部分がある。そんなこと思うの私とヴェンだけ?
夕暮れのヒグラシを聞きながらビールがうまい。つまみはイナゴでした。
>かいさん
つまみがイナゴっていいですねえ、それにしてもご自宅でヒグラシが聞けるとはなんとも羨ましいかぎりです。私は録音してきたので、アブラゼミ燻製でもつまみながら聞くことにします。