《活動報告》奈良から大阪へ、昆虫食の旅を終えて ~2020年8月29、30日~

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8月29日は奈良、30日は大阪と、昆虫食三昧の贅沢な旅を終え、その概略を記しておきたい。奈良へは昨年の10月に初めて講演で訪れて今度が二度目となる。同地を二年連続で訪れることはあまりない。主催者の熱意に敬意を表したい。

 

〇昆虫食ランチ

会場の平城京跡歴史公園・天平うまし館トキジクキッチン平城京に着くと、すでに熱心な参加者が何人か集まってきていた。(図1)

図1:平城京レストラン(奥には、世界遺産・朱雀門を望む絶好のロケーション)

 

昆虫食ランチが始まる。会場は50名弱の参加者が、今時の用心に席を空けて座っている。ワンプレートにのってきた料理は「昆虫たちの故郷と奈良の食材の融合」がテーマだ。どれもこれも昆虫感を極力抑えて目に優しい皿ばかりが並ぶ。

・徳島産フタホシコオロギカレー

・オケラ入りエスニックオムレツ

・コオロギパウダーをまとわせた唐揚げ ツムギアリと奈良漬けのソース

・大和野菜のマリネ コガネムシとともに

・三輪素麺 タイワンタガメのトムヤンクン風

・大和野菜のサラダ アリの卵のエスニック風

・奈良産アブラゼミの麻婆豆腐

以上の7品は多彩で昆虫食材の種類もバラエティーに富んでいる。どれもこれも美味しそうだ。さすが川辺瞬シェフ。さあどれから食べようか。

カレーに浮かぶ2匹のコオロギがかわいい。オケラは刻まれているせいかオムレツと一体だ。唐揚げはコオロギの優しい旨味が舌にやさしく、ツムギアリ成虫と奈良漬けの組み合わせは斬新。コガネムシはやや硬く今回のランチの扇のカナメのよう。三輪素麺はタガメのフルーティーな香りをまとって爽やかさすら感じられる。アリの卵のつぶつぶ感がサラダの良いアクセントだ。奈良産のアブラゼミは旨味が濃くて味わい深かった。(図2)

図2:ランチ

 

〇昆虫食セミナー

昆虫食セミナーは会場を奈良県コンベンションセンターに移して行われた。(図3)この会場は4月に奈良県が威信をかけて建造したというだけあって威風堂々の佇まいをみせている。つい最近までゲテモノと蔑まれてきた昆虫なのに、こんな立派な会場でお話させてもらってもいいのだろうか。幾分の戸惑いと栄誉の思いを抱きながら登壇し、「最近の昆虫食事情」と題してお話した。100名ほど集まった参加者のみなさんの興味津々の表情を見て、私も話に熱がはいり、既定の70分があっという間に過ぎた。講演のあとコオロギコーヒーの開発者で昆虫食YouTuber清水和輝くんと、昆虫食との出会い、活動状況、今後の展望などディスカッションした。

著書の販売もさせてもらったのだが、近著の児童書『ホントに食べる?世界をすくう虫のすべて』がオールカラーの図鑑で高価だったにもかかわらず、多くの方々に購入いただいたのは予想外で嬉しかった。

図3:奈良コンベンションセンター

 

〇昆虫食ディナー

再び会場をトキジクキッチン平城京に移して昆虫食ディナーを楽しんだ。「次世代のネオ昆虫食」というテーマで昼の部とはまた違ったメニューが提供された。このなかには8月に群馬県前橋市で行われたコオロギレシピグランプリの受賞作品も含まれていた。グランプリを主催したのは高崎経済大学ベンチャー「FUTURENAUT」で、その代表を務める同大学院生の櫻井蓮さんがゲストとして招かれていた。

・大地のパスタ ヨーロッパイエコオロギとごぼうのペペロンチーノ

(コオロギレシピグランプリ受賞作品・川辺シェフアレンジ版)

・豚のロティ ミツバチと蜂蜜の親子ソース

(昆TUBEちゃんねるより)

・新鮮野菜のサラダ ミルワームのドレッシング

・コオロギスコーン

(川辺シェフのコオロギレシピグランプリ応募作品、ミライスポンサー賞受賞作品)

・カイコ蛹などを入れたアクアパッツア

・ローヤルゼリーとミツバチのバスクチーズケーキ

なんと豪華なディナーだろうか。昼と同じくどれからいただくか悩む。

まずはグランプリを受賞した「大地のパスタ」にフォークは動く。私は前橋市で行われた審査会に参加していたので、グランプリ受賞作品と川辺シェフアレンジ版との違いに興味があった。川辺シェフの特徴は、ごぼうの「ささがき」が大きくて目立ち、ごぼうの主張が強く、より大地のイメージを強調している。これは傑作。「豚のロティ」はまず豚肉が美味い(笑)。ミツバチの食感と蜂蜜の自然の甘味が主役を引き立てている。「新鮮野菜のサラダ」に使われているドレッシングの虫はミルワームとあるがタケムシではないだろうか。ミルワームは脂肪分が多いのだが、その割にさっぱりしたドレッシングになっている。「コオロギスコーン」はコオロギの香りが効いていてとても美味しく、ミライスポンサー賞受賞に納得する。「カイコ蛹などを入れたアクアパッツア」は舌の上でカイコ蛹が仲間外れになっているようだ。煮込むと中身が柔らかくなり殻が気になる。殻を外し中身だけをスープに溶け込ませたほうがカイコの個性を生かせる気がした。バスクチーズケーキはミツバチの食感がアクセントになり、ローヤルゼリーの苦みも程よく調和した大人の味に仕上がっていた。

川辺シェフからは「そう遠くないうちに、本日のメニューは「肉」にしますか?「魚」にしますか?というだけでなく「虫」も選択肢の一つに加わるような時代が本当に来るのではないかという気がしています。」という心強い言葉をいただいた。(図4)

図4:ディナー

 

翌30日は大阪で午後3時から5時まで「内山昭一さんとコオロギコーヒーを楽しむ会」が催された。前日に奈良県コンベンションセンターでディスカッションした清水和輝くんが開発したコオロギコーヒーを飲みながら、昆虫食について歓談する集まりだった。クラウドファンディングで目標金額を達成した美味しいコオロギコーヒーを飲む会である。

午前中は時間があったので「あべのハルカス」と「通天閣」を案内していただく。私は高所恐怖症。だが「あべのハルカス」の地上300メートルの展望台に昇ると、高さを感じなくなると同時に恐怖心も薄らぐから不思議だ。(図4)いっしょに行ったスタッフからクジで当たった可愛い「あべのべあ」をいただく。当たらなかった私がきっと欲しそうな表情をしていたにちがいない。(図5)

図5:あべのハルカス展望台より

図6:あべのベア

 

「通天閣」は土産物売り場など見て回る。賞味期限切れ寸前(モノによっては若干切れている)商品売り場など大阪らしい。「食品ロスをなくそう!」というポスターの中央にトノサマバッタが描かれている意図がよくわからない。まさか〈食品ロスをバッタに食べてもらい、そのバッタを人間が食べようキャンペーン〉ではないと思うが……。(図7)

図7:食品ロスポスターにトノサマバッタ

 

お昼は定番の串カツ屋に入る。ソースはコロナ予防のため共用のソース容器ではなくボトルに入ってくる。(図8)「虫カツとか欲しいね、この時期セミカツとか」と笑いながら頬張る。満ち足りて店を出てイベント会場へ向かった。

図8:串カツ

 

会場に着いてコーヒー焙煎の準備などして参加者を迎える。まず清水くんが開発の経緯を話す。徳島大学ベンチャーの株式会社グリラスで養殖されたフタホシコオロギを使用。最近話題になった無印良品の「コオロギせんべい」の材料と同じものである。大阪・天満で人気の優れた焙煎技術を持つSanwa Coffee Worksが、コオロギのコーヒーとしての可能性に共感し、応援してもらい、コオロギ独特の風味を生かしたオリジナルブレンドが出来上がった。

今回は試飲ということで、①普通のコーヒー、②コオロギ粉20%入りコーヒー、③コオロギ粉30%入りコーヒーの順に飲ませていただく。好みは人によって異なるが、私の場合は、コオロギ粉20%入りの②が、まろやかですんなり飲めてしまって一番気に入った。商品はこの配合だというから、私の感覚は標準なのかもしれない。

昨日同席した「FUTURENAUT」の櫻井蓮さんもゲストとして招かれた。集まった10名ほどの参加者は、提供されたイチオシ商品の「コオロギのゴーフレット」を食べながら、起業から商品開発に至る櫻井さんの話に耳を傾けていた。私もフン茶ドリンクのことなど話し、終了時まで熱心な歓談が続いた。

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