伊藤:まず、昆虫料理研究会の経緯についてお話していただきたいのですが。ホームページでは99年から研究を開始したと拝見したのですが、それが(昆虫料理)研究会の始まりということでしょうか。
内山:そうですね。99年に3人で始めた会です。
伊藤:その3人というのは、どういったご関係の方なのでしょうか?
内山:自身が長野県出身で昔から比較的昆虫食に慣れ親しんでいて、98年に多摩動物園で「世界の食べられる昆虫展」というイベントがあって、家が近かったものですから、友達と2人でいきました。それが(研究会創設メンバーの)1人です。その人は今日のイベント(阿佐ヶ谷での昆虫試食会「昆虫食のひるべ」)の会場のオーナーの門田さんという方です。もう一人は仕事の関係で交流をしていて結構虫が好きな方でした。話したら参加したいということで(参加した)。一番最初は、多摩川の河原でバッタをとって食べようということでトノサマバッタを揚げたりしたんですね。
伊藤:この前(10月25日(日)の明大前虫食会という試食会)のような感じですね。あの時のトノサマバッタは美味しかったです。
内山:そうそう、あの感じです。当時も美味しかったものですから、ほかにも美味しい虫がいるかもしれないと考えたのが、そもそもの始まりですね。
伊藤:なるほど。始まり自体は内山さんの興味から始まったのですね。
では、なぜそれが明大前虫食会や阿佐ヶ谷での昆虫食のひるべといった定期的な活動につながったのでしょうか。
内山:まあ、なんとなくなんですけど(笑)。会といっても会費を集める会員制度をとっているわけではないので、本当に興味のある人に集まってもらうという感じなんですよね。
昆虫食という新しい食事ということに対して(興味・関心ということは)比較的大きな動機だと思います。これは入りとしては、昆虫に限らずどんな料理にも言えることですね。まあ、当時はネットが普及し始めた時代で、次いつやりますよとか連絡すれば今言った(興味を持ってくれた方が)集まってくれました。で、その時も阿佐ヶ谷で昆虫食のイベントをやりませんかと門田さんに提案していただいて、「(実際始めたら)どのくらい集まるのかな、4,5人くらいかな」と話をしていました。最初は今のような予約制ではなく当日に集まりたい人が集まってという感じだったのですが、第1回のイベントには狭い部屋に20~30人もの人たちが来てくれたんですね。身動きが取れないほどで、でもみんな昆虫食にこんな興味を持ってくれているんだと認識したんです。そこからだったら定期的にやったらいいんじゃない?という話になりました。2年前にFAOの報告書(2013年のFAO『Edible Insects – Future prospects for food and feed security』)が発表されてからは、さらにより多くの人が昆虫食に対する認識を深めた気がします。(食糧危機など)色々な問題を昆虫食が解決するかもしれないということで、メディアもたくさん取り上げられました。
伊藤:なるほど。FAOの報告書(による昆虫食の認知の広がり)は、研究者といった専門分野だけではなかったんですね。
内山:そうですね。一般の人も「昆虫食って意外にいいんじゃない?」という風に昆虫食の認識が広がりました。それと同時に、もっと大勢の人に昆虫食を知ってもらいたいということで明大前(虫食会)を作りました。(※明大前虫食会は現在は終了しています。)
伊藤:そういうわけで月1ペースで二つの昆虫試食会が出来たのですね。僕が先週初めて試食会に参加させていただいた時、印象的だったのが料理を作る工程まで参加するという点でした。バッタ会(昆虫料理研究会のイベントの一つ)では、それこそ昆虫を採るところから参加していますし、そうした昆虫を食べるだけでなく過程まで参加することには、何か内山さんのお考えがあるのですか?
内山:まずは僕らが楽ということが(笑)。
伊藤:なるほど(笑)
内山:まあそれは冗談なんですけど、当初は本当にスタッフが作って提供するという形だったんです。けれどもだんだんに、作る喜びってあるじゃないですか、プロセス自体を楽しんだり調理したりしたいという人も(参加者の中には)いたんですね。
伊藤:なるほど。そうした要望があったわけですね。
内山:そうです。作っていくうちに、普段食べ物と思っていないものが食べ物に代わっていく心理的な要素があるので、作って楽しみたいという要望があった。結構皆さんにお話しを聞くと(調理することが)良いと言っていたものですから、そうした形をとらせていただくことになりました。
伊藤:なるほど、そういうことだったんですね。そういえば以前内山さんの『昆虫食入門』(平凡社,2012)を読ませていただいた時、(心理学者吉村浩一さんによるPAC分析から)昆虫を食べる心理的要素には4つあって、そのうち一つが狩猟採集活動であるとおっしゃっていたと思うのですが、それも、(プロセスを楽しむというところに)通じるところがありそうですね。
内山:ええ。まあ実際、採集から入ると(採集がないより)多いんですよね。バッタ会やセミ会なんかだと、採ることが楽しいという人がやっぱりいて。自分で虫を採るなんてことはなかなかしないじゃないですか。
伊藤:確かにそうですよね。小さいころはよく虫を採っていたけど、今はしないですね。
内山:そうそう。(虫を)採りたいと思っても、大人になってみるとやっぱり気恥ずかしいところがあります。でもこうして(イベントで)大勢でとれば怖くないこともありますよね?(笑)。まあそういうこともあって採ることには大勢の人が集まるわけですが、人間の狩猟本能みたいなものもそこにはあるでしょうしね。
伊藤:狩猟本能、ですか。
内山:はい、食べ物を自分で採って食べるというのが昔は普通だった。ストレス解消にもなるし、そういうものを求めている深層心理があるんじゃないかなと。(狩猟採集をすることで)人間が動物の一種であることの理解も若干として感じられる。自然を見直すチャンスにもなるし、昆虫食を通じて自分で採って食べるという行為をもう一度追体験できるということが魅力だと思うんですよね。今の食事パターンってだいたい完成されたものが出てきて、それを食べるという行為がほとんどですよね。自分から、食物に対し主体的に関わる、作るところから、もっと言うと採るところから(笑)
伊藤:あ~(笑)。そう考えると昆虫食って本当に(食べるということの)根源を体験することができますよね。
内山:あともう少しいうと、自分で養殖して育てることもできる。
伊藤:なるほど!(笑)
内山:でも考えてみれば野菜だって同じことですよね。家庭菜園って自分で種まいて成長過程を楽しみますよね。それから、(自分で育てたものを)食べることでより美味しさを感じることもできますし。昆虫食も同じことが言えるわけで、役割としてはそれも凄く重要なんじゃないかなと思っていながら活動しています。
伊藤:確かにそうですよね。(採ったり育てたりといったことは)他の動物ではしにくいことですよね。たとえば大型の家畜に比べたら、昆虫はもしかしたら手軽かもしれない。でもそうした役割を内山さんも最初から意図していたわけではなく、活動を通していくうちに知っていったのですね。
内山:そうですね。活動をやっていくうちに勉強していったりしますし、みなさんの反応なんかからも知ることがあります。それこそ(参加者が試食会のあとに募る)アンケートなんかで、みんなこういうことを思っているんだなと感じますね。そしてやっていくうちに(主催者と参加者で)お互いに切磋琢磨していけたらいいなと思います。
参加者から学ぶことも多いんですよね。今日もセミ会のアンケートとこの前の明大前のアンケートを持ってきたので後で見てください。
伊藤:ありがとうございます。
内山:まあ、今こうしてお話している昆虫食なんですが、実はFAOの言っている昆虫食のあり方とはまた違っているところがあるんですよね。
伊藤:そうなんですか。どういった点が違うのでしょうか?
内山:FAOの方は、どちらかというとヨーロッパ主体の考え方なんですね。ヨーロッパというと比較的昆虫と日頃接するチャンスのない場所での研究になるわけですが、彼らは(昆虫食を)時間面での効率の問題、それから地球温暖化や食糧危機といったマクロな問題のための、単純な「食糧」として考えているのだと思います。アメリカでも同じようなことが言えるのですが、今アメリカではコオロギが流行っているんですよね、プロテインバ-なんかに加工してね。虫をただの粉にしちゃって混ぜ込んじゃうんですよ。
伊藤:あ~。とにかく昆虫というか、昆虫の成分を重視してるという感じですね。
内山:そうですね。昆虫の成分を抽出して、サプリメント的な要素をかなり強調しているように見受けられました。まあそれはそれで一つの重要な面でもありますが、できるだけ虫感をなくすということですよね。香りもチョコレートの香りとか食べやすいようにして虫が入っているという痕跡をなくすということがメインだと思います。一方日本の場合ってヨーロッパなどに比べると比較的昆虫に親しみを持っていると思うんです。風物詩として飼ってみたり、虫と触れるチャンスは多いですよね。
伊藤:そうですね、昔僕も鈴虫を飼っていた記憶がありますね。
内山:そうですか。鳴き声を楽しんだりね。そうした虫との付き合いがかなり昔からあったんです。そういう経緯の中に私たちはあるのだから、単に食糧としてではなく、現代失われつつある自然の中の人間ということ考えさせたり、自然と人間との橋渡しという位置づけをすれば昆虫食に対する考え方ってまた少し変わってくるような気がすると思います。あと、これは僕自身の気持ちなんですけど、日本には和食の伝統があるように、できるだけ昆虫も種の持っている香りとか独特なものを生かした形で、料理として作れていければいいんじゃないかと考えています。それは我々のためでもあるし、昆虫のためでもある。
伊藤:素材の味を生かすということですね。
内山:そうですね。分解して粉々にするよりも、一個一個の存在を大切にしていきたいですね。
伊藤:なるほど。先ほど和食という言葉がありましたが、そう考えると昆虫食って日本の考え方に通じるところがありそうですね。
内山:そうだね。あと、多くの昆虫って独特で形が美しいというか、かっこいい所がありますね。
伊藤:確かにそのフォルムがかっこいいですよね。カマキリなんかは、小さいころかっこいいと思っていました。
内山:カマキリもいいよね。あれを粉々にするというのはもったいない。だからよく寿司の写真を名刺代わりにして持っていくことが多いんだけど。
伊藤:寿司ですか?
内山:そう。寿司って(ご飯の上に乗っているネタが)形そのものなんですよね。だから、視覚的にも楽しんでもらえることもできる。
伊藤:あーそう考えると面白いですね。確かに、もともとそれぞれに個性がある虫をつぶしてしまうのは、肉類などの「代用品」としてでしか見てないような感じがしますね。
内山:うん、だから言ってみれば、(代用品なら)人工肉でいいわけ。最近細胞を培養して人工的に肉をつくる研究なんかもされているみたいですね。
伊藤:なるほど。そういえば内山さんは長野県のご出身ということで、長野県は日本では伝統食として、昆虫を食べること自体もなじみがある地域だと思いますが、伝統食としての昆虫食について内山さんはどうお考えですか?この前のイベント(明大前虫食会)ではそうした伝統食と比べるとレパートリーの多さに印象を受けましたが。
内山:確かに、伝統食というといなごの佃煮とか良いものが残ってくれていると感じますし、みんなも普通に安心して食べることができていますよね。まあでも、ハラハラドキドキ感はないよね(笑)。
伊藤:確かに(笑)いなごの佃煮なんかは認知されているというか、食として確立されていますよね。
内山:そうだね。あれも確かに美味しいけど、でももうちょっとそれらと違うものを目指したいよね。佃煮は本当に佃煮の味だからね。でも保存食としてはね、水分を抜いて日持ちをすることができていましたよね。冷蔵庫のなかった時代には重宝したでしょうし。それはそれでいいんだけど、もうちょっと幅広く(昆虫食の)普及に努めたいなと思います。できるだけ同じメニューにならないように毎回のイベントで工夫していきたい。最近ちょっと行き詰っているけど(笑)。
伊藤:なるほど(笑)
内山:この前の明大前、あれも去年の10月くらいに評判になったやつなんですよ。
(10月25日の明大前虫食会のメニューは、バクミックスケーキ、オオスズメバチのパンプキンスープ、タガメのフルーツポンチ)
伊藤:今日(11月1日の阿佐ヶ谷での試食会)も中華が出ていてすごい美味しそうだなと(笑)
内山:中華ですね。これもすごい美味しいですよ。
伊藤:このようにレパートリーを増やすことも楽しみの一つなのですか?
内山:そうですね。こんな風にしたら、こんな味になるんだとかね。でもそろそろ、こうしてやっていると食べられる昆虫(を新しく見つけること)も限界にきている。あとは、昆虫の専門家と今度は一緒に新しい目標を立てられたらなと思います。
伊藤:なるほど。ちなみに現在食べられる昆虫種ってどのくらいいるのですか?
内山:そうですね~だいたい130種類くらいかな。あ、そういえば最近ずっと考えていたのが、有機野菜ってあるじゃないですか。農薬を使わない野菜とか田んぼとか。
伊藤:あーなんか見えてきました(笑)
内山:ありますよね(笑)。あれとコラボできないかと。普通、明治以降は昆虫というのは害虫だったんですね。マイナスイメージを持たれていて、とにかく農薬を使って殺すというのが昆虫研究のメインだったんですね。でも今は状況が変わってきて、できるだけ無農薬で有機栽培を行うという風になった。しかし有機栽培の農家でも虫はつぶしてしまってるんですよね。
伊藤:あ、そうなんですか。
内山:青虫とかいるじゃないですか、モンシロチョウの幼虫なんかですね。ああいうのはとにかくとってつぶしていた。
伊藤:なるほど、でもまあそうですよね、まだ(そうした昆虫の)使い道というのが開拓されていないわけだから…
内山:そうなんですよね。あと、夜盗虫というよく葉っぱにくっついている虫なんですけどこれなんかも農家にとっては害虫として見られているんですね(夜盗虫とはヨトウガの幼虫のこと)。まあ、嫌われている虫なんですけど彼らは彼らなりに役割があるのですから、無駄に殺さずに一緒に食べてしまいましょう。
伊藤:あ~(笑)。でも確かに言われてみれば殺しちゃうのはもったいない。
内山:それに(虫は)野菜を食べていますよね。食べるものもはっきりしているのだから安心ですよね。すごく栄養のある動物性蛋白質と、野菜によってビタミンが一緒にとれるのですごい良いんじゃないかと思うんですよね。これなんかは新しいテーマとして来年頑張ろうかなと思いますけど。たまたま最近、家の近くでそういう農家が見つかって、ちょっと虫をいただいたんですね。家に青虫を持ってきてくれたんですよ。
伊藤:お~。すでに実用化が始まっている…。
内山:あとは先週の火曜日、サツマイモ堀りが幼稚園とかで親子で行われていて、僕は仕事でちょっと行けなかったんですけど、(知り合いに)頼んだんですね。サツマイモってエビガラスズメっていうスズメガの幼虫がついてたりするんですけど、それがいたらとっておいてほしいというお願いをしていたら、20匹くらいとっておいてくれたんですよ。すごい嬉しかったですね。
伊藤:それは、どうやって食べられるのですか?
内山:エビガラスズメはスズメガの中でも結構美味しい部類に入るんですけど、昨日その食べ比べをやりました。蒸すのと茹でるのと焼くのと3種類をやってみました。やる前は揚げるのが美味しいと思ったんだけどね。
伊藤:あ~。以前もタケムシ(タケツトガの幼虫)の揚げものを食べたけど美味しかったですね。
内山:そうそう。でもね、(エビガラスズメを)揚げてみると皮が硬くてなかなか食べにくかったんだよね。微妙でした。それで一番良かったのがね、焼くことだった。焼くとね、焼いている部分がスルメというかイカの味のようになったんだよね。縁日とかでよくあるじゃないですか。
伊藤:皮が硬いからこそ、ですかね。
内山:そうそう。焼くと水分が抜けてうまみとかが凝縮されるんですね。だからこれは干物にするといいねという風になって早速今日も天日干ししてきたんですけど。
伊藤:お~、すごい発見ですね。
内山:まあこのヒントになったのがアフリカなんですけど。アフリカは結構イモムシを沢山食べるのでね、いま言ったスズメガとかヤママユとか。それで、アフリカの人の食べ方というのが、そういう虫って一気に発生するので、現地ではそこにキャンプしてみんなでとるんですね。とったらとにかく内臓を一気に出しちゃって、中の未消化物を絞り出して、向こうだと外に出しておけばすぐ乾いちゃうので干物にする。使うときに戻して、うまみが凝縮されているからだしとして使うんですよ。まあそういう風に食べる習慣があるというわけで参考にしたと。
伊藤:そこからインスピレーションを受けたんですね。
内山:まあ、ものによって干したほうがいいのか、茹でたほうがいいのかがあるね。皮が軟らかいものは普通に茹でたり、煮たりしたほうがいいと思いますが、皮が硬いやつですよね、そこらへんは焼くなどして水分を飛ばしたほうがいいかもしれません。
伊藤:そうすると皮の硬いものは皮が美味しいのですか?
内山:皮と身の間にうまみの成分があって。あと油の有無ですね。自分の体を守るために皮の裏に脂肪分があり、そこについている筋肉って厚いんですよね。よくお話しするんですけど、サクラケムシってあれ中までぎっしり身が詰まっているんだよね。
伊藤:あっ、そうなんですか。見た目ではそうは見えませんでした。
内山:ちゃんと中までソーセージみたいに身が詰まっているんですよ。優秀ですね、あれは。
伊藤:身も桜の味がするんですか?
内山:そうそう。秋ごろに収穫するんだけどね。5,6月頃孵化して、葉っぱを食べながら夏に大きくなって、9月くらいに一番大きくなりそのあとは木から降りて土の中で蛹になるんだけど。
伊藤:じゃあ木から降りてくるころが、ねらい目?
内山:そう、ぞくぞく降りてくるんだよね。毎年とは限らないからなかなか難しいところがあるけれど(笑)
伊藤:なるほど(笑)。内山さん、すみません。次が時間的に最後の質問になろうかと思います。内山さんのお話の中でも昆虫食から学べることって多いなと感じたのですが、内山さんが考える中で昆虫食から学べることというと何があるかとお考えですか?
内山:そうですね、一番感じるのが人間って雑食動物だなというところですね。本当に何でも食べられるんだなと。それはかなり大きいことだと思います。普通現代人ってスーパーにしか売っていないものしか食べなれないみたいなところとかあるじゃないですか。
伊藤:そうですね。
内山:最近いろんな問題が話題になっているじゃないですか。そういう認識っていうのが、より一層強くなってきていますよね。戦後、オリンピック以降、高度成長以降アメリカなどから大量に商品が入ってきて、アメリカ的な考えになってしまいましたよね。スーパーマーケットができて、画一的な商品でしかなかなか取り扱ってもらえなくなってしまった。昔はそんなスーパーなんて何もなかったし、その季節、季節でとれたもの、旬のものってあったじゃないですか?
伊藤:あーありますよね。
内山:うん、季節ごとにとれるものが違うし、とれるものってものすごい種類が多かったんですね。ウサギとかハトとか、キジとか動物性タンパク質をとってもいろいろなものがあった。でも今は牛と豚と鶏、この3つくらいですよね。
伊藤:そうですね、決まってしまっていますよね。
内山:そうそう。だから人間って食べることに対してものすごくモノトーンになってしまって気がするんですよね。それじゃあつまらないじゃないかって思うんですよ。人間雑食動物だと思えばいろいろなものが食べられるし、そういう経験というのがすごく楽しい。こういうことが基本的に僕が昆虫食を通じて認識を深めた、人間って雑食動物なんだなって思ったね。
伊藤:なんか(最近は)矛盾していますよね。安全考慮と大量生産をめざして食料の生産ラインをしっかりしていったのに、結局、闘牛病とかいろんな問題が起きちゃっている。
内山:あれ(闘牛病)なんかも共食いだよね。肉骨粉とかいって同じ種の骨を食べさせているわけだから。できるだけ遠いものを食べたほうがいいとは言いますよね。だから大きく考えれば哺乳類って今どちらかというと共食い状態なんですよね。だからガンとか増えているんじゃないかとか言われていますよね。
伊藤:それこそ、最近FAOが発表しましたよね。加工肉は発ガン性があるみたいな。
内山:あーなるほどね。だからそうだよね、そういうことを学べるんじゃないかと思うんですよね。
(終わり)