062 マダゴキベビー誕生


《暗黒の帝王》マダガスカルゴキブリに赤ちゃんが生まれた。ふと飼育ケースをのぞくと体長約1センチの黒いチビたちが35頭ほど動き回っている。拡大写真を見ると触角の先の白い部分まで見える。五体満足でかわいい。やはりメスが混入していたようだ。
応用昆虫学の一分野として食用昆虫学がある。これはアメリカ・ウィスコンシン大学のDefoliart氏が主導するもので、「人類の食料資源を研究し、昆虫の高栄養価、経済価値やその潜在能力の高さから、昆虫を小規模家畜生産(ミニライブストック mini livestock)として食料資源としての有用性を提示する」(野中健一著『民族昆虫学—昆虫食の自然誌』11-12頁)。
食用昆虫学的観点からすれば、マダガスカルゴキブリは小規模家畜生産(ミニライブストック mini livestock)の対象として十分考えられる。またハリスのコスト-ベネフィット論からも食料資源として検討されてもいいのではないか。
【拡大した顔は親とそっくり。触角は先まで切れていない】

だが野中氏は食用昆虫学の矛盾を指摘する。「昆虫を食べるということは、それを食べようとする条件が整って成り立つものである。……文化的、社会的、経済的なさまざまな要因が結びついて成り立つのである」(同書、12頁)
たしかにマダガスカルゴキブリは国産ゴキブリに比べて可食部分がきわめて多く、味も臭みがなく淡泊なので、加工食料としての応用範囲は広いと予想される。
また寄生虫学の権威藤田氏もゴキブリの総合的な栄養価の高さを強調している。
サツマゴキブリの一種はシャ虫として漢方薬にもなっている。「無翅というのが薬効の原因の一つではないか」と「虫ブログ 薬になる虫たち」で鈴木氏が書いている。サツマゴキブリは無翅だし、マダガスカルゴキブリも無翅である。
反面、野中氏が述べる文化的側面も見逃せない。当研究会ホームページで行っているアンケートでは、なにがあっても食べたくない虫のダントツがゴキブリである。加えて過度な衛生信仰が蔓延するいまの日本では、ゴキブリ牧場など論外といわざるをえない。まさしく《暗黒の帝王》といった負のイメージが固着している。
地産地消的立場や生態系保全の立場からも外来種であるマダガスカルゴキブリは問題が多いといわざるを得ない。温暖化が進むに従って定着する可能性を否定できない。生体の飼育・繁殖に際しては十分な管理が要求される。
【昆虫ゼリーをおいしそうに嘗めている】

このようにマダガスカルゴキブリを小規模家畜とみたとき、さまざまな長所・短所が考えられる。当面昆虫食材の一つとして試食会で使っていくつもりでいる。大方のご意見・ご批評をお寄せいただきたい。

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コメント

  1. urasimaru より:

    ゴキブリ嫌いについて書いたのでTBしてみました。でも、こちらで見ると「食べられそう」って思うんですけどねー

  2. ⊂ニ( ^ω^)⊃ より:

    マダガスカル行きたいぉww

  3. You より:

    このゴキブリさんはメスが混入してないという条件で輸入されてるものなのですか?だとすると、、、大問題だ。

  4. 最後の画像 より:

    ちょっとかわいい

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